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国際土壌年とは?

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去る2013年12月20日、第68会期国際連合総会で国連食糧農業機関(FAO)に事務局を置く地球土壌パートナーシップ(Global Soil Pertnership)主導のもと、次の2つのことが宣言されました。

一.12月5日を世界土壌デーとする。
二.2015年を国際土壌年とする。

■なぜ、いま土壌なの?

まず、国際土壌年の国連決議文の抜粋を紹介します。
全文はこちら(PDF)から読めます。また、全訳(PDF)もされているので、ぜひ読んでみてください。

****国連決議文(抜粋)****
土壌は農業開発、生態系の基本的機能および食糧安全保障の基盤であることから、地球上の生命を維持する要です。さらに、土壌には、経済成長、生物多様性、持続可能な農業と食糧の安全保障、貧困撲滅、女性の地位向上、気候変動への対応、水利用の改善など、様々な問題を解決する可能性が秘められています。

この土壌を正しく認識し、適切に管理し、守っていくことこそが「我々の望む未来(The future we want)」の実現に大きく貢献します。限りある土壌資源を見つめ直し、その持続性を増進すること。それが今まさに求められています。

今回のように、国際土壌年と世界土壌デーが同時に宣言されたのは、前例のないことです。
その意味を心にとどめ、全加盟国も、国連機関も国際組織も地域機関も、市民組織も非政府組織も、そしてあなた自身でも、その日その年を慶祝しましょう。その慶祝に、自発的に貢献しましょう。
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この文が、もし難しいと感じたら、想像してみてください。

お米やパンに野菜、牛や豚や鶏、ジュースやお茶。
今日食べたものはどうやって作られたものでしょうか?

木材、レンガ、コンクリート。
今日帰る住まいは、もともとは何から作られているのでしょうか?

綿やウール、麻、絹。
今日私たちが着ているもの、それは土壌なしに作ることはできますか?

土壌はまた、水を貯め、浄化し、洪水を和らげます。
土壌がなければ、私たちは利用できる水を得るためにもっとずっと大変な労力を必要とすることでしょう。

私たちは食べ物も水も、住まいも衣服もエネルギーも、みんな土壌を通して得ています。
私たちの他にも、たくさんの生き物たちもみんな、土壌に頼って生活しています。

けれど、知っていますか?

たった数センチの土壌ができるのに、数千年の時がかかります。
世界中の土壌を集めても、その陸地面積に対して平均18cmの土壌しかないのです。
そして、その土壌はいま消えつつあることを。

都市の下に埋められていく土壌。
森林破壊や過放牧・過耕作で劣化し、捨て去られていく土壌。
そして、私たちの視界から、会話から、教科書から、日常から消えていく土壌。

私たちは、私たちのために、未来の子どもたちのために、この土壌を守っていかなくてはなりません。

■なにをやるの?

国連では、国際土壌年に対する行動計画書が承認されました。
「限りある資源である土壌について、社会的な認識の向上を図ること」そして、「土壌資源の持続的な管理と保全のための効果的な政策や行動を促進すること」を主な目的として、2014年12月5日の世界土壌デーにおける国際土壌年開始宣言を皮切りに、世界中で様々なイベントが行われています。

けれど、実はなにをやるのか、どうやって進めていくのか、具体的なことは何も定められていません。責任もありません。
わたしたち一人ひとりが動かなければ、国際土壌年はかたちのないものなのです。

国際土壌年のテーマは、“Healthy soils for a healthy life”
わたしたちはこれを「元気な暮らしは元気な土から!」と訳しました。

土壌は、世界の環境問題を解決に向かわせる可能性を秘めていますが、わたしたちの毎日の暮らしを元気にする力も持っています。
国際土壌年のこの機会に、まずは、土壌のことを考えてみませんか?